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はらこ飯料理教室を開催しました@湘南台食堂

EVENT 2019.11.21

みなさまこんにちは。仙台食堂のお魚担当齊藤です!今回は初めて、湘南台食堂の場所をお借りしてNODE GROWTH湘南台に入居されている学生さんたちを対象に魚を使った料理教室を開催しましたので、その様子をお伝えしていきます。

はらこ飯といえば東北宮城の秋の郷土料理。「はらこ」とはつまり「いくら」のことを指し、身や皮・アラを甘く煮たその煮汁で炊き上げたご飯に、そのいくらをのせて食べる豪快かつ贅沢な一品です。阿武隈川の河口に位置する宮城県亘理町を中心に、秋から冬にかけて遡上(そじょう)してくる鮭を使った漁師飯として古くから食べられてきました。最近では多くの飲食店でも目にすることが増えてきており、牛タンやセリ鍋・ずんだにつづく仙台の看板料理としても大注目のグルメです。

「普段、料理はするものの魚はあまり使うことがない」と話してくれた学生さんのお話からも分かるように、魚料理に対しては「難しい・おいしく調理する自信がない」と感じていらっしゃる方も多いと思います。教室では、簡単な一手間で料理の仕上がりが格段に良く、よりおいしく調理するための方法やその理由などをお話しさせていただきました。はらこ飯は下準備を進めておけば、調理開始からご飯を炊き始めるまで、ものの15分。その手軽さにおどろいた様子の学生も多かったです。

魚の生臭みを取るヒトテマをご紹介。
湯引きした鮭を出し汁で煮ていきます。

今回は宮城の郷土料理を知っていただこうと、仙台風芋煮もみんなでつくり、食べていただくことに。みんなでひとつの鍋を囲み、親睦を深めながら秋の実りを楽しむ仙台の「芋煮会」さながらの雰囲気に、和気あいあいとしたなかでの教室になりました。

教室でははらこ飯のつくり方だけではなく、その文化や世界の鮭の種類をご紹介。また実際に遡上した鮭を獲る捕獲場での鮭漁の様子を見学させていただき、ご飯の炊きあがりを待つ時間を利用して、その様子をまとめた映像も見て頂くことに。

この秋、私が取材を兼ねて見学させていただいた場所は、仙台市内から車で1時間半ほど内陸に北上した位置にある登米(とめ)市を流れる北上川(きたかみがわ)でした。北上川は、岩手県の盛岡以北の中心部から南に流れ、宮城県東部の石巻市・追波湾(おっぱわん)にそそぐ一級河川です。河の長さは249㎞にもなる東北地方最大の河川で、その緩やかな勾配がもたらす美しい水面の流れや河沿いの風景が、俳人・石川啄木の名作「一握の砂」の作中で詠まれているほか、北上川をゆっくりと下る遊覧船の運航など、古くから現代にわたって多くのひとの心をつかみ、楽しませています。

鮭は一般的に川で生まれ、海に出て世界を回り、産卵のために生まれた川に帰ってくる、「母川回帰」の能力を有した、世界的にも珍しい魚です。海に出たあと、一体どのような回遊ルートで世界中の海を旅しているのか、またなぜそのような一生をすごすのか、驚くべきことにその詳しいメカニズムは現在に至っても定説がないと言われています。

当日船で漁場を案内しながら、北上川と鮭漁について教えて下さった北上川漁業協同組合桃生支部長の白石さん。

 

 

 

 

 

 

気候や風雨による河川の地形変化、また事業開発や区画整備など人為的な環境の変化によって、鮭の遡上量は年々減少の一途をたどっていましたが、北上川では遡上してきた鮭の卵から稚魚を育て、放流するという取り組みの成果として、現在はその減少傾向は抑えられているそうです。

使用する網は特注の網を使い、すべて手作業で作られています。

 

この鮭漁の漁師さんは、鮭の稚魚を育てるための卵を採取するための漁として県からの依頼を受け、地元から有志で集まった方々です。そのほとんどの方が80歳を迎えていらっしゃるという超高齢化体制。危険とつねにとなりあわせの現場作業のなか、みんなでこの場所に集まれることをやりがいに、毎年漁を楽しみにしていると話すみなさんの顔は、とてもいきいきとしていました。この川の漁師の皆さんの取り組みが、今と未来の日本の鮭文化を支えています。

網を使って鮭をすくい、引き上げるというダイナミックかつ、とても力のいる漁の映像に、参加者のみなさんも興味を持っていただけた様子でした。

ご参加いただいた皆様、取材にご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました!引き続き、食の現場を伝える取り組みをしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!